kinakonuko's diary

https://trackback.blogmura.com/themes/247/sender/quowdqf1bvd1

メッセージのやり取りから想像が広がる…「ルビンの壺が割れた」/宿野かほる先生 を読んで

 

こんにちは、きなこぬこです。
今回は宿野かほる先生の「ルビンの壺が割れた」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。

 

 

f:id:kinakonuko:20200402174655j:image

 

こちらの文庫本はカバーが二重になっていて、感想が所狭しと詰められたカバーの下に普通のカバーが付いていました!

 

黄色と黒のカラーリングといい、非常に目を引くデザインですよね笑

 

タイトルにもなっているルビンの壺ですが、着眼点の違いで同じ絵がまるで違う絵のように見えるという有名な絵です。

テーマになっているこの絵のように、こちらの小説も登場人物のメッセージのやり取りが進むにつれて視点が変わり、コロコロと印象が変化し、読了後も読み手側によって様々な捉え方をできる面白い作品ですね!

 

 

⒈あらすじ

 

Facebookで以前の婚約者;未帆子を見つけた水谷一馬は、メッセージを送る。最初は未帆子からの返信がない中メッセージを送る水谷であったが、そのうち未帆子からもメッセージが返ってくるようになった。学生時代に劇団で演じた「ルビンの壺が割れた」のこと、結婚式当日に消えた未帆子の身には何があったのか等も思い出話に花を咲かせながらやりとりが進んでいくが、その中で過去の秘密が次々と明らかになっていく。

 

全編メッセージのやりとりで物語が進んでいく、少し変わった形式の小説です。

 

表紙にたくさんの驚きの感想が載っていますが、誇大広告ではなく、本当に読み出したらその展開は驚きの連続です!

非常に薄い本なんで読みやすいというのも良いですね。

私は最後は衝撃だったのですぐにもう一度頭から読み直してしまいました笑

 

以下はネタバレを含みます。

 

 

⒉感想

 

現代的なFacebookのメッセージのやりとりという変わった方式で進んでいく物語です。

本当に便利な時代ですよね。

ネット上で昔の知り合いと繋がることができるなんて、現代ならではです。

 

ですが、ここには現代ならではの恐怖を感じます。

会いたい懐かしい人と繋がることもできますが、会いたくない相手とも繋がってしまうのです。

 

水谷一馬はどう考えてもストーカーですよね…

最初の方は未帆子に一方的に丁寧なメッセージを送り続けており、未帆子のことを返信せず結婚式もトンズラしたひどい女性だと思いましたが…でも未帆子を見つけた方法が写真を引き伸ばしたりメッセージを読み返したり友達を辿ったりと、非常に狂気じみているんですよね…笑

よくよく考えたら、メッセージ返すか迷いますよね笑

 

未帆子の場合、個人情報を消す努力をしっかりとしていましたが、見つける人はこんな些細な情報からでも個人を特例するのかと思い驚きでした。

 

SNSは便利ですが、注意して使わないといけませんね…

 

個人的に気になった点は、水谷が優子と叔父の秘密をみつけた時と未帆子が水谷の秘密を見つけた時の場面が共通している所です。

どちらも、偶然覗いた相手の引き出しから秘密を見つけ出してしまっています。

 

引き出しの中にその持ち主の本性が隠れているような表現で面白く感じました。

引き出しの中身は他人から見えないですが、ふとした偶然で見られてしまうこともあります。

その中には他人に見られても恥ずかしくない、誇れるものを詰めておけるように生きていきたいなと思いました。

 

以下は考察に続きます。

 

 

⒊考察

Facebookでのやりとりという面白み

 

繰り返し話していますが、この作品はFacebookのメッセージのやりとりで進んでいきます。

ここがこの作品の特徴であり、面白い点であります。

 

水谷と未帆子は最後まで直接会うことはなく、メッセージの内容のみで物語が構成されていきます。

一般的な小説では、登場人物の周囲の状況について説明があるのですが、この小説では2人の現状が全くわかりません。

 

直接向かい合っての会話や電話に比べて、文字のみでやりとりをするメールでは誤謬がより生じやすいですよね。

同じ言葉でも受け取り方が異なることがあります。

 

しかし、その分受け取り手により様々な捉え方ができ、想像の幅が広がります。

 

登場人物の詳細がわからない分、読者によって想像の余地があり、少ない情報から登場人物のことを推測します。

その点こそが、この小説の面白さなのだと思います。

 

 

⒉水谷一馬という人間

 

⒈女性観

 

水谷と未帆子との過去について思い出しながら、学生時代の思い出を語り合っていますが、未帆子の他にももう1人ヒロインがいます。

それが元婚約者である優子です。

 

優子は水谷に好意を抱いており、婚約しながらも、叔父と関係を持ち続けていました。

そのことに対し、水谷はショックを受け、嫌悪感を抱いています。

 

未帆子は水谷には秘密にしたまま、ソープで働いていました。水谷はそのことで思い悩みました。

 

水谷自身が性に対し潔癖であることは確かではありますが、この2人も性に対して開放的ではあると思います。

 

また、水谷は未帆子とのやり取りで、「女性は天性の演技者」と語っています。

これは、水谷が2人に騙されたと感じているから出てきた言葉なのでしょう。

 

2人の女性はそれぞれの事情があって行動していたのですが、そのことに対し水谷は「許す」という言葉を使っています。

これは、2人が間違ったことをしていると考えた上からの物言いです。

悪いこともしていないのにこのような言われ方をされたのならば、怒るのも当然でしょう。未帆子は自身の生活のために体を売っていたのですから。

 

強いて2人に悪い点があるとすれば、水谷に対して自分のことを打ち明けなかったことだと思います。

もちろん恋人、婚約者に対してでも秘密を全て打ち明ける必要はないと思います。

しかし、水谷が性に対して潔癖であることを知っているのであれば、打ち明けないことを不誠実だとは思います。

 

とはいえ、水谷の上から目線の物言いを考えると、2人の女性のことを自身の所有物のように思っていたのでしょう。

そして、水谷が嫌悪感を感じたのはその2人が自分に隠し事をしていたことではなく、他の男と関係を持っていたことに対してでしょう。

処女厨なんですかね笑(下世話ですみません)

 

ですが、彼女たちの身体は彼女たち自身のものであり、それをどう使うのかは自由です。

誰にも咎められる筋合いはありません。

ましては、赦しを乞う必要なんて少しも無いのです。

 

そのことを水谷は理解できず、彼女たちの人生は自分のものであると勘違いしてしまっているのでしょう。

 

 

⒉犯罪に対する考え

 

犯罪には、そおに至る理由がある。決して彼だけが悪いわけではないとー。

 

水谷は多額の資金を持ち逃げした友人に対してこのように話しています。

「機会を作ってしまっただけ」だと。

 

彼は、犯罪を犯す原因は己ではなく、環境等の外的影響によるものだとしています。

環境により、そうなってしまうのだと…

 

凄まじい言い訳ですよね笑

なんとしても自身の非を認めないという一貫した姿勢が見えます…笑

 

そしてこの発言から、彼は彼自身の犯した罪は自分のせいではなく、周りの環境によって犯罪者にされてしまったと考えているみたいですね。

 

もちろん外的要因も少なくないとは思いますが、その人自身の性質にも大きく左右されるはずです。

そうでなければ、同じ環境にいる人間が全員犯罪者になるという状況が生じてしまいます。

 

他人に原因を作るなんて言語道断です。

 

とはいえ、人のせいにしたくなる時もありますけどね笑

反省しなければいけませんね…

 

 

⒊水谷一馬の価値観

 

未帆子とのやりとりの中で、未帆子が結婚式に来なかったせいで自身の人生が転落したと本気で考えていることがわかります。

また、「私の今日の不幸の原因はすべて、優子と未帆子にあると言えば、言い過ぎでしょうかー」とも記しており、2人の女性によって人生を壊されたと考えています。

 

逆恨みも甚だしく、恐ろしいですね…

 

服役していた間も反省することなく、自分を追い込んだ周囲に恨みを募らせて生きてきたのでしょう。

全く反省していないことが明らかです。

 

水谷は全く己を省みることなく、なんでも人のせい、環境のせいにして生きてきたため、このような薄っぺらい人格が形成されたのでしょう。

 

出所後は優子を殺害しており、未帆子からも必死で個人情報を引き出そうとしていることからも、2人に対して復讐を試みていたのでしょう。良い迷惑ですね。

 

水谷はすべての物事の原因を、他人や環境に押し付け、自分は悪くないという考えのもとに生きてきたのですね。

 

誰しも人や環境のせいにしてしまうことはありますが、きちんと自身を向き合い、悪いことや良くない所は少しずつでも変えていく努力を重ねながら生きていきたいです。

 

自分の人生を周囲のせいにするのではなく、自身で選び取って進んでいきたいと思いました。

 

私も忙しいを理由にせず、ブログの更新や勉強に取り組んでいきたいなと…思います…笑

 

 

⒋まとめ

 

いかがでしたか?


今回は宿野かほる先生の「ルビンの壺が割れた」についてまとめさせていただきました。


最後まで読んでいただいてありがとうございました!